
イースターエッグでの撮影は、全てRAWモードで行います。余り聞き慣れい言葉かも知れませんが、一言で言えば圧倒的に綺麗な絵を残す記録法です。取り扱いに面倒な点がありますが、それは私たちフォトグラファーにとっての話。お客様にとってこれ以上ない撮影手法と言えるでしょう。
「手焼きが良いですか?デジタルが良いですか?」と言う質問をよくいただきます。
答えを先に申し上げるなら、もう「優劣はない」と言えるでしょう。フィルムから焼き上げる手焼き写真は、陶器や工芸品同様、手で作られるもの独特の風合いがあり、一品ものとしての味わいがあり、それはファンを引きつけて止みません。デジタルは超高速連射、フィルムでは考えられない高感度撮影ができる、何よりその場で絵を確認できると言う得難いメリットがあります。
いずれにせよ、手焼きで培ったイースターエッグの妥協無き姿勢は、デジタルフォトにも確実に引き継がれています。そのために絶対に譲れない下記2つの取り組みを実践しています。
- RAW撮影
- フォトグラファー自身によるこだわりぬいたRAW現像
コストを重視すれば、とても出来る物ではありません。ですから、ここできちんと説明をさせて頂きたいのです。
今イースターエッグが取り組んでいるデジタルにおけるRAW撮影と現像はまさしく「手焼き」のリフレインに他なりません。デジタルが手焼きを完全に凌駕する日も来るでしょう。しかしそのためには、さらなる鍛錬、追求心、研鑽、そして技術革新が必要です。
さてイースターエッグの行っているRAW撮影とは、いったいなんでしょうか?ちょっと説明しにくいものですが、極おおざっぱに言えば、「素材の収穫」と言い換えることが出来ます。
たとえばここで、カレーライスを食べたくなったとします。カレーライスを食べる手段はたくさんあります。カレー屋さんに行っても良いでしょう。レトルトのカレーを温めても良いでしょう。またはルーを買ってきたり、小麦粉とスパイスからから自分で作る人もいるかもしれません。どの方法が一番良いかは、その時その時の状況によって変わるでしょう。食事の時間が10分しかないとしたら、悠長に調理をしている暇はありません!でも、カレーを自分好みに作りたいなら小麦粉とスパイスから作るのが一番でしょう。(一流ホテルのシェフに頼んでも同じ手法でしょう)しかし、はじめから満足のいく味を作れるかと言えばそう簡単ではないでしょう。小麦粉から美味しいカレーを作るには沢山の経験とフィードバックが必要そうです!
RAW撮影とは、小麦粉やタマネギ、お肉、美味しいお水等を収穫することとほとんど同じなのです。そして、その素材からカレーを作ってゆく作業はRAW 現像と似ています。
RAW撮影ではない撮影をJPG撮影と言います。コンパクトデジカメや携帯電話のカメラで撮影するとJPGというデータが出来ます。このデータで撮影することをJPG撮影と言います。これは上の例で言うならばレトルトカレーに相当します。見てのとおり調理済みです。もはや根本的な味付けを変えることは困難です。だから、辛口、中辛、甘口・・・・とあらかじめ沢山のバリエーションがあります。コンパクトデジカメのモードダイヤルがそれに相当します。ポートレートモードや夜景モード、風景モード、等々の味付けが用意されていることを思い出してください。(もちろん一眼レフデジカメでもJPG撮影も出来ます。)
カメラが素材を取り込む作業は、JPG撮影でもRAW撮影でも全く同じです。しかし、JPG撮影するとカメラの中では、ものすごい勢いで調理をはじめます。次の撮影に間に合うように短時間の内にこなさなければならないからです。
しかし、カメラという限られた空間に搭載された映像エンジンは、どれほど綺麗を唱っても、たとえばイースターエッグのアトリエにあるマッキントッシュと現像専用のソフトウェアにくらべれば、オモチャのような物です。ミニキッチンとレストランの厨房設備の違いですね。
ここで原点に帰ります。いくら素晴らしい厨房でも良い素材が与えられなければ、何の意味もありません。
フォトグラファーは料理人があると同時に、狩人と耕作民でもなければなりません。良い素材を如何に収穫するか?それに専念するための作業がRAW撮影というわけです。
綺麗な絵を作り上げるプロセスを考えてみましょう。
ブライダルフォトグラファーが撮影するとき、同時になさねばならない事はたくさんあります。たとえばフィルム撮影時、ザッと考えただけでもこれだけあります。
- 構図の決定
- 光の計算
- 露出設定
- ピント調整
- シャッターチャンス
- 進式披露宴の行状況の把握、そしてそれに則った動作
- 周囲の注意(二人の導線を遮らないように・・バージンロードに気をつける・・フロアスタッフとぶつからないように・・・など
更にデジタル撮影では・・・
- 画質設定
- カラースペース設定
- ホワイトバランス設定
- 階調設定
- シャープネス設定
- etc
が加わるのです。しかもネガフィルムと比べ、光の寛容度が狭いデジタルでは非常に精密な露出決定が要求させるので、露出決定もより慎重に行う必要があるのです。
そして重要なことは、この時JPGで撮影してしまうと後から画像をコントロールすることはほとんど不可能だということです。(レトルトカレー参照)
しかしRAW撮影であれば、デジタル撮影で追加された”しなければならないことリスト”のほとんどを、撮影後パソコンで行うことが出来るのです。もちろん手間や時間、そしてそのためのスキルは必要です。しかし「綺麗な写真」を目的とするならば、これ以外に選択肢が無いのです。
もちろん、イースターエッグはそのスキルとキャリアを持っています!
まだまだ、デジタルフォトの世界は発展の余地があります。対するフィルムは2世紀近い歴史があり、そのメリット&デメリットが出尽くされ対処法などもしっかりと確立しています。
イースターエッグがデジタルフォトに取り組みはじめたのが2003年。当時のアルバムを今見ると、そのクオリティの低さに驚くばかりです。当時のデジタルカメラやコンピュータ、ソフトウェア、更に私たちのRAW現像のスキル、どれも当時としては可能な限りを尽くしたのですが。
それでも撮影がRAWであったため、今開発販売されている最新のRAW現像ソフトウェアで改めて現像し直すことが可能なのです。そこから生成される写真は、当時精一杯頑張って現像したそれよりも遙かに綺麗なものであることは言うまでもありません。JPGで撮影していたら叶わないことです。
RAW撮影する意義はこうした未来への保険でもあるのです。ブライダルの写真は永い期間保管され見直されるものです。今だけではなく先のことも考えれば今RAWで撮影することは当然なのです。
笹倉猛見











